どうも~無事故無違反無運転、無の三冠王お茶の間ドライバー羽毛です。
2017年9月21日(steam版は22日)にレースゲームというよりもレースシムの大作『Project Cars2』が満を持して発売された。
2017年は
- DiRT4
- F1 2017
- PROJECT CARS2
- グランツーリスモSPORT
- WRC2017
- Need for Speed Pay back
と、上記の様にレースゲームの大豊作期であるが、個人的には一番期待していた作品だ。
発売1ヶ月前あたりからネット広告で、よく「○○は知らない 知ってくださいProject Cars2」のフレーズを目にしたことがある人は多いのではなかろうか。
というわけでお茶の間レーサーこと羽毛が、さっそく購入してみたのでプレイした感想をレビューしていきたい。
目次
レースシムの言葉に偽りなしなシビアな操作性
さて、レースゲームと言えば真っ先に挙がる話題が車の挙動についてだ。
そして、本作の挙動についてだが、結論から言うとぶっちゃけかなりシビアだ。正直、レースゲーム初心者に「このゲーム、リアルだしめっちゃ面白いよー(嘘は言ってない)」とは気軽には言えないレベルだ。
ハンドルを急に切ればスピンするし、アクセルを一気に吹かすとスピンするし、縁石などでバランスを崩すとスピンする。レースゲ―ならぬスピンゲ―と化す。もうこの時点でソフトをぶん投げたくなるだろう。
それもそのはずで、本作はスピードを出して爽快感を楽しむものでは無く、リアルに車を走らせたらどうなるかをゲーム上でシミュレートした所謂レースシムと呼ばれるものであるからだ。
ただ、逆を言えば乱暴な運転をせず、セオリー通りの走りをすれば車はちゃんと走ってくれる。1時間も車を転がしていれば、徐々にコツを掴むことが出来るだろう。
シビアな操作に慣れ、最高速度300km/h以上のレースカーでスマートにコーナーを曲がれた時の快感は言葉では説明できない・・・是非、ご自分で味わっていただきたい。
「いやいや、チュートリアルも無いし運転のセオリーなんて分かんねぇよ!」という人には以下の本をオススメしたい。
つい最近テニスプレイヤーを引退されたクルム伊達公子の旦那さんであり、レーシングドライバーでもあるミハエル・クルム氏が書いた『ミハエル・クルムのレーシング「超」運転術』(そこ!とある何たらの禁書目録みたいなタイトルだなとか言わない)だ。
「コーナーではアペックスに視点を置く」といった基本的な事から
- スタート直後での第一コーナーでの立ち回り
- トレイルブレーキ・ショートブレーキの制御法
- タイトコーナーでのライバル車との競り合い
- 正しいブロックの仕方
など、上で紹介したのは極一例だがレース(ゲーム)で使えるテクニックを学ぶことが出来る。
また、ヒール&トゥの必要性やレーサーとしてのメンタルのあり方など、モータースポーツファンにとって面白い裏話も多く載っているので、是非一度目を通して頂きたい。
プレイヤー以上に(?)賢いAI
レースゲームをプレイするにあたって、イライラする大きな要因の一つとしてNPCが操作するライバル車の存在が挙げられる。いや、正確にいうならば、周りを見ずバカ正直に決められたラインを決められた速度でしか走らないAI車と言うべきだろうか。
しかし、本作PROJECT CARS2ではそのイライラから解放されることになる。
今作のAIは非常に賢く、今までのレースゲームの中でも突出して良い出来だと感じる。
例えば、プレイヤーが運転する車がスピンしてコース上で停止してしまった時、今までのゲームではNPC車は構わずに突っ込んで来ていたが、今作ではちゃんと減速して回避していく。また、コーナーでの競り合い時においても、無理な幅寄せだったり、ケツを掘るようなことは少なくなった。(リアルプレイヤーが運転するよりマナーいいんじゃ・・・)
というか、NPC車もスピンするし、何だったらガス欠や故障によってコース上で停止していることもザラにある。ホントに表情豊かなNPCのお陰で、オフラインプレイでも飽きずに走ることが出来る。
ちなみに、AI車の走り方は
- 速さのレベル
- 攻撃性
の2項目を1~100までの段階に任意で設定することが可能であるため、自分の走りに合わせればいつでも接戦を演じる事が出来る。(俺強ぇ!したい人はAIのレベルを下げたら簡単にぶっちぎる事が出来るぞ)
周を重ねる度に表情を変えるコース【LiveTrack3.0】
本作の目玉機能でもある新技術こと【LiveTrack3.0】。環境や車の走行状況によりリアルタイムにコース状態が変化するというものである。
この機能のお陰で、本作はよりシミュレーターとしての面白味が増していると感じる。
車両がコースに与える影響
以下の映像を見てほしい。開発元であるSMSが発売前に公開していた映像であるが、コースを走る車のコーナリングやブレーキによって路面の温度が変化しているのが読み取れる。
路面の温度が上がれば、その分コンパウンド(タイヤ)の摩耗も早くなるなど、走りにも影響してくるわけである。
それだけでは無い、ホイルスピンなどによってコース上に残されたラバーやコースアウトした車両がコース内に復帰した際に持ち込まれた砂利などもシミュレートされており、車の挙動に影響を与えることになっている。
天候による影響
コースに影響を与えるのは車両だけじゃない。そのもう一つが天候だ。
最近のゲームでは雨や雪が降ること、それによってグリップが変化することはメジャーとなってきている。ただ、コース上のどの地点においてもグリップの低下レベルは同じことが大体である。
しかし、本作では雨水の動きまでシミュレートされており、コース上の窪地などに水溜まりが出来ることもある。ウェットな路面だけでなく、局所的なハイドロプレーニングにも注意する必要があるわけだ。
圧倒的数の設定項目
シミュレーターというだけあって様々なシチュエーションを作り出すことが出来るのだが、驚くべきはその設定項目の細かさだ。
基本設定
ゲーム全般の基本設定では、
- ステアリングアシスト
- ブレーキアシスト
- ドライビングライン
- ABS(アンチロックブレーキシステム)
- TCS(トラクションコントロールシステム)
といった初心者向けの一般的な設定から
- フォーメーションラップの手動操作
- ピットレーン・ピットストップの手動操作
といった設定まで行うことが出来、今までのゲームならオートで操作されていた部分も自分で運転することが出来るため、よりレーサーとしての気分を味わうことが出来る。地味ながらも、こういった”こだわり”の部分は嬉しい人も多いのではなかろうか。
カスタムレースの設定
レースシムと言えば、様々な車であらゆるコース、あらゆる天候の下ドライブを試すことが出来るが、本作の設定項目の細かさには正直驚かされた。
180種類以上の車両、50以上のコースロケーションから選択が可能。
さらに、天候や競技ルール、出場車両数(最大30台)・車種の選択までも可能だ。この設定だけでも突き詰めていけば10分なんて余裕でたってしまうレベルだw
「設定だけで10分なんかやってられっか!そんな細かいことより早くレースさせろや!」
という人は競技プリセットも登録されているため車とコースさえ決めればすぐにレースを開始させることが出来るので、安心してもらいたい。
車両のセッティング
Project Cars2のセッティングは非常に細かく、タイヤ1個ずつにセッティングを施したり、搭載燃料量、エンジンブレーキの利きなどフルでチューニングを施すことが出来る。
が、正直言ってある程度以上の車の知識が無いと分からない。グランツーリスモやDiRTシリーズをプレイしてきたことがある人でもなんじゃこりゃというレベルなので、初心者にはまず間違いなく無理だろう。(ぶっちゃけ俺も分からんから放置)
だが、開発陣もそこは重々承知なようで、初心者救済措置として「車がスピンしてしまう」「ブレーキが間に合わない」などの症状に合わせて自動でセッティングをしてくれる機能があるので、自分のこだわりが出るまではレースエンジニア機能による簡易セッティングでも事足りるだろう。
VRへの対応
昨今のゲーム、特にレースゲームで気になるのがVRへの対応についてだ。
本作はPC版において、フルVRプレイが実現されているが、PSVRは”現在”のところ非対応だ。開発元SMSのエンジニアはPSVRも是非前向きに検討していきたいと話していたが、実現は難しいのではなかろうか。
グランツーリスモSPORTでもVRツアーという限定のモードで1対1のレースしか楽しめない。これはもうPS4の処理能力の限界なのだろう。
仮にProject Cars2でもPSVRが楽しめるとしてもGTSPORT同様の限られたモードだけだろう。キャリア・オンライン含め、VRプレイをしたい方はPC版を購入する他なさそうだ。
終わりに
本作『Project Cars2』はリアルなプロドライバー体験を目指した超リアル志向なレースシムであるため、初心者は無事に完走することもままならないだろうし、万人にオススメ出来る作品ではない。
しかし、じゃじゃ馬を手懐けてスマートにコーナーをクリアすることや0.1秒を削ることに快感を見出すことが出来る変態人にとっては、最高の1本となるだろう。そして、プレイするなら是非ハンコンを使用してもらいたい。
ちなみに、2017年9月24日現在ではT-GTはT300RSとして認識されるが、問題なく使用することが可能だ。
グラフィックの美麗さこそ、グランツーリスモSPORTに譲るもののPS4版でも十分キレイだし、マニアックかつ豊富な車種、50以上のコースレイアウトなど、ボリュームとしてもPS4レースゲームの中では過去最高レベルだ。
音・グラフィック・ボリューム・設定全てにおいて高いレベルでまとまっているので、車好きなら是非プレイして頂きたい1本だ。